erico 写真集『うちへかえる』

4,180 (税込)

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説明

万華鏡を使って作品を制作するerico
その作品は、自身の目を向け、鮮やかな想像の世界へ誘います。
目を開けてみる夢のような作品の世界をぜひお手元に。

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子供の頃から、ずっとどこかに帰りたいと思っていた。

当時仲良くしていた友達の家で万華鏡を覗いたことがあり、手の中に広がる色鮮やかな美しい宇宙にすっかり夢中になった。どうやったら自分自身もこの世界に入り込めるのだろうか、ひょっとしたら死後の世界ってこんなふうに美しい世界なのだろうか、万華鏡はそんな世界を垣間見ることのできる魔法の道具なのかもしれないなんて思いながら時間を忘れて見入っていた。

そしてどこかに帰りたいという感覚のまま成人し結婚、新しい家族ができた。二度小さな命を失い、その数日後父が病で亡くなった。さらに自身にも同じ病気の疑いがあり、自分の存在というものに初めて向き合う日々を送った。

ふと、万華鏡を覗いていた子供の頃のことを思い出した。
帰りたいと思っていた「どこか」。
それは、流されながらなんとなく生きてきた今までの自分から、やりたいことをやり貪欲に生きようとする本来の自分へ「かえりたい」という思いから来るものなのだと分かった。
すべての生き物には必ずいつか、この世界から去る時が訪れる。それまでの限られた時間を、自分と、自分を取り巻く世界に向き合い、「生きる」ことを満喫したい。この世界の美しさを感じ切りたいのだと。

世界的に大変なこの時期、多くの人が外出を控え行動を制限されている中、ある意味強制的にでも自分自身と対面する、「自分の内側へかえる」時間を過ごされているのではないかと思う。そう考えこのタイトルにした。

今回の展示では、万華鏡には、見る人それぞれの中に眠る記憶を呼び覚まし自身の内面を投影する力があるのではないかという仮定に基づき取り組んだ。

水晶玉を取り付けた万華鏡を自作し、それをレンズの先端に当てて撮影を行った。
また、「手の中に広がる宇宙」をイメージし10センチ角のアクリルに万華鏡で撮影した光景を閉じ込めた。

なんでもない身近な世界に、そしてこの作品を見てくださるあなた自身の中に、キラキラ輝く美しい欠片が存在していることを感じていただけたらと思う。

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