説明
日常とは何と思う。
例えばそれは写真のフィルムのようなものでネガの風景は向こうが透けて見える。
違う風景を重ねて行けばフィルムの風景はどんどん見え難くなっていきやがて見えないものとなる、しかし、同じ風景を重ねていけば写されたもの輪郭は益々くっきりと見えてくる。
同じ風景を積み重ねていくこと。日常とはそういうものと思う。
私が視たいと思うのは私自身の潜在意識の中にあるもの、既視感を伴う情景ではなくその外側にあり、誰もが目にしている、誰も視ることない情景なのだと思う。
私の中で既に出来上がってしまっている積み重ねられたイメージの外側からやってきてそれをうち壊してくれるようなものに出会うこと。
そんな時に私はその情景をフィルムの中にとどめてしまいたいと強く思わせられる。
それは決まって、見慣れてしまった風景や出来事のそばでじっと息を潜めこちらを見つめている、それと目を合わせる瞬間、私が視線を投げ返しそれらを認識すること、それが私にとっての写真なのだろう。(あとがきより)
Frazenspiel
Augenkappe
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